ストレスで血便が出ることはある?
診察していると、『ストレスが原因で血便が出た』というお声をたまに聞くときがありますが、実はストレスと血便には直接的な関係性はありません。ストレスが溜まるような生活をしていても、ストレスが原因となって血便が発症することはありません。つまり、ストレスが溜まっているタイミングと血便が生じたタイミングがちょうど重なっただけの可能性が高いです。ただ、ストレスが血便を生じさせる直接的な原因ではなかったとしても、ストレスが溜まっていると様々な病気が発症するリスクが高まります。
ストレスと関係があるのは
過敏性腸症候群?
ストレスが原因で血便を発症することはありませんが、間接的に血便が発症してしまう可能性はあります。その要因となりうるのが『過敏性腸症候群』です。
過敏性腸症候群とは、腸管には特に異常が生じていないにも関わらず、下痢や便秘、腹痛と言った症状が慢性的に続く病気です。この過敏性腸症候群が起こる原因としては、ストレスや暴飲暴食、アルコール類の過剰摂取など、普段の生活習慣なども関わってきます。お薬で症状を抑えて治療を行いますが、場合によっては向精神薬を処方したりして精神面をコントロールしていくことがあります。
過敏性腸症候群では血便を引き起こしたりはしませんが、慢性的に下痢や便秘を発症させるため、排便回数が増えたり排便時に肛門に負担がかかることでいぼ痔が発症してしまうことがあります。つまり、いぼ痔が発症することで出血が生じる場合があります。
そのため、過敏性腸症候群が発症することで下痢や便秘などの便通異常が生じ、その結果として痔(いぼ痔)ができてしまい、出血を伴うことになります。
過敏性腸症候群の予防法とは?
過敏性腸症候群は予防ができる病気でもあります。コーヒーやアルコール、香辛料などの腸管に刺激を与える飲食物は極力控えるようにして、炭水化物や脂質を多く含む脂っこい食事もできるだけ控えるようにしてください。
下痢をしやすい方の場合は、低FODMAP食を意識してください。FODMAPとは、オリゴ糖や二糖類、単糖類や糖アルコールのような小腸で吸収されにくく、大腸で発酵しやすい糖質のことを意味しています。下痢をしやすい方に関しては、低FODMAP食を意識していただければお腹の中を健康に保つことができるようになるかと思います。
食事面以外では、ストレスを溜めすぎないようにすることが大切です。自分流で構いませんのでリラックスできる趣味を作ったり、睡眠時間もしっかりと確保するようにして心身ともにしっかり休める環境を整えましょう。
まとめ
ストレスが原因となって血便を引き起こすことはありませんが、過敏性腸症候群という病気を発症し、慢性的に下痢や便秘を引き起こして痔になり血便が出るといった可能性があります。
当院では消化器内視鏡専門医が、消化器専門外来を実施しています。些細なことでも構いませんのでお気軽にご相談してください。また当院には管理栄養士が在籍しています。そのため、管理栄養士が低FODMAP食を意識した栄養指導なども行っています。ご興味がある方はお気軽にお問い合わせください。
監修:名古屋むらもと内視鏡クリニック 栄院
院長 村元喬