おならがよく出ても、特に体調面には問題がないと思っている方が多いかと思いますが、おならが出る回数が多いと、消化管で異常が生じている可能性もあります。今回は、おならがよく出る原因とその対応策について、解説していきます。
おならがよく出る原因とは?
おならがよく出る際に考えられる原因は様々です。
飲食物による影響
豆類やキャベツ、ブロッコリー、乳製品などの食べ物はガスを発生させやすいです。また、炭酸飲料も、飲んでいるとガスが発生しやすくなります。
空気の飲み込み
普段の食事の際に、食べ物と一緒に空気も飲み込んでしまっています。早食いの方は普通に食べているよりも多くの空気を飲み込むことになります。食事の際に飲み込まれたガスは腸内に運ばれ、おならとして体外に排出されます。
腸内環境の乱れ
腸内には多種多様な細菌が存在していますが、腸内環境のバランスが崩れ、悪玉菌の数が増えてしまうと腸内でガスが発生してしまいます。腸内環境が乱れる原因としては、食事内容、生活習慣、飲んでいる薬など様々です。
消化不良
消化不良が起こってしまうと、食べた物が腸内で消化されず、食べた物が発酵してしまい、その際に腸内にガスが発生してしまいます。
ストレス
ストレスを抱えていると消化器系の働きに影響を及ぼし、ガスの発生を促進してしまうことがあります。ストレスによって腸の動きが悪くなったり、腸の動きが促進されたりしてガスの排出がうまくいかなくなります。
消化器系の病気
消化器の病気が原因となって、おならの回数がふえてしまうことがあります。おならの回数が増えてしまう病気の代表例は下記に記載をしています。
おならの回数が増えてしまう
消化器系の病気とは?
消化器系の病気によっておならの回数が増えることがあります。
大腸がん
大腸がんの初期症状の一つとして、おならの変化が考えられます。 これには、おならの頻度の増加、臭いの変化、腹痛の伴うおならなどがあります。 これらの変化は、大腸内の環境や通過の妨げ、さらにはがん細胞の代謝産物の影響を受けることが考えられます。
潰瘍性大腸炎
大腸の粘膜上に慢性的な炎症が生じる病気です。腸管での炎症が原因で、腸管の蠕動運動が乱れてしまい、ガスの発生が増えてしまいます。
クローン病
クローン病も潰瘍性大腸炎と同じで、大腸の粘膜で炎症を引き起こしてしまいます。クローン病では大腸だけではなく、消化管全域で炎症がみられる特徴があります。クローン病でも腸管の蠕動運動が乱れてしまい、ガスの発生が増えてしまいます。
過敏性腸症候群(IBS)
IBSは腸の運動機能が乱れることで、ガスの発生や排出が不規則になってしまうことがあります。特にガスの排出が遅れてしまうことで、おならが増える傾向があります。
胆汁酸吸収不良
胆汁酸が適切に吸収されないと、腸内での脂肪の消化が不完全となってしまい、結果としてガスの発生が増えてしまうことがあります。
便秘症
便秘により、腸内に便が長く留まってしまうと、その間に発酵が進んでいき、ガスが発生しやすくなってしまいます。
上記のような消化器系の病気はほんの一例であり、それ以外の病気でもおならが増えることがあります。
おならがよく出る際の対策とは?
おならがよく出る場合、以下のような点を試してみてください。
食事の見直し
腸内でガスを発生させやすい食べ物があります。上述していますが、下記に記載しているような食べ物は食べ過ぎには注意をしてください。
極力控えて欲しい食べ物
- 大豆
- インゲン豆
- ひよこ豆
- キャベツ
- ブロッコリー
- カリフラワー
- 炭酸飲料
- 乳製品
早食いはしない
ゆっくりと食べること、よく噛んで飲み込むことで空気を飲み込む量を減らすことができます。早食いはしないようにしてください。
プロバイオティクスの摂取
腸内環境のバランスを整えるために、プロバイオティクスを含むヨーグルトやサプリメントを摂取していただくことも効果があります。プロバイオティクスを含むヨーグルトやサプリメントを摂取していただくことで、腸内に善玉菌が増え、ガスの発生を抑えることができます。
適度な運動
運動は腸の動きを活発にしてくれますので、ガスの排出を促進します。ウォーキングや軽いストレッチなどでも十分に効果がでます。ご自身にあった運動を継続して取り組むようにしてください。
ストレス管理
ストレスを軽減させるために、深呼吸をしてリラックスすることも重要です。ストレスを発散できるように趣味を作ったりしてみてください。
水分補給
十分に水分を摂取することで便秘の予防になり、腸内のガスの発生を抑えることができます。一日に1.5〜2リットル程度は飲むようにしてください。
処方内容の見直し
治療目的で飲んでいる薬が原因となっている場合もありますので、おならの回数が増えたと感じる方はかかりつけの医師に相談してみてください。
最後に
おならがでるようになっても、『大丈夫!』と思っている方が多いかと思いますが、おならは潰瘍性大腸炎や大腸がんなどの消化器系の病気が原因となって増えているのかもしれません。些細なことでも構いませんので、何となくおならがよく出ると思うようになったらお早めに医師に相談するようにしてください。
当院では消化器内視鏡指導医の資格を持っている院長が、消化器専門外来を行っています。消化器内視鏡指導は日本でも数少ない消化器領域のプロフェッショナルです。
おならの回数が増えて困っている方、何となくおならの回数が増えたと思っている方はお気軽にご相談ください。