内視鏡検査と感染管理
内視鏡検査は、消化管(主に食道、胃、十二指腸、大腸)疾患の早期発見が期待でき、大変有用であると言われています。しかし、機器の管理を適切に行わないと、内視鏡検査による感染症を引き起こすリスクが潜んでいます。
内視鏡検査による感染症の発生について説明します。検査では、“スコープ”という機器を口や肛門から挿入して、体内の状態をくまなく観察しますが、検査の過程で体内のさまざまな菌がスコープに付着します。検査が終わるたびに、スコープの洗浄や消毒を適切に行わなかった場合、次の検査でも同じスコープを使用することになりますので、感染症を引き起こす恐れがあるのです。そのため、検査が終わるたびに適切な方法で洗浄と消毒を行わなければなりません。
内視鏡診療を実施する施設として、この洗浄消毒の作業は必須ですが、非常に残念なことにこの業界内では徹底しきれておらず、内視鏡による感染症の発生が報告されています。つまり、クリニックにとって感染管理は、苦しくない検査の提供や正確な診断とともに、重要な任務です。
国内外の基準をクリアした
洗浄剤(Hクリーン)の導入
スコープの洗浄消毒作業では、まず汚れを落とすために人の手で洗浄します。国内では酵素入り洗剤が推奨され、多くの施設では酵素入り中性洗剤が使用されている一方、当院では弱アルカリ性の酵素入り洗浄剤「Hクリーン」を採用しています。Hクリーンは国内のみならず、海外の基準もクリアしており、高い洗浄力が得られます。名古屋では、当院がこの洗剤を導入した初めての施設となります(2024年6月現在)。患者様には見えない部分にも妥協せず、感染管理を行っています。
高い洗浄消毒性能と使いやすさを
追求した内視鏡洗浄消毒装置
洗浄消毒作業において、人の手による洗浄の後に、内視鏡洗浄消毒装置で洗浄と消毒を実施します。国内のガイドラインによると、スコープの消毒には、「高水準消毒」を行うことが推奨されており、高水準消毒を行える洗浄消毒装置は3社から販売されています。その一方で国内では、高水準消毒とは異なる機能水(強酸性電解水やオゾン水)を用いた消毒方法もあり、消毒液は施設で異なります。
監修:名古屋むらもと内視鏡クリニック 栄院
院長 村元喬